手描きの魅力を届ける“まんがチラシ”の仕掛け人:北出さんインタビュー

クリエイター

手描きの温かみと、まんがの分かりやすさ。その両方を活かして、販促チラシに「思わず読んでしまう魔法」をかけているのが、北出さんのまんがチラシです。

文字だけでは伝わらないことも、まんがにすることでお客様の心にすっと届く。そんな表現の力を活かしながら、「読まれないチラシを、読まれるチラシに変える」工夫が、細部にまで詰め込まれています。

今回は、そんなまんがチラシの仕掛け人・北出さんに、制作の裏側や考え方についてじっくりお話を伺いました。

誰にでも伝わる「手描き」の力

つちや:最近、「まんがチラシ」ってよく聞くんですけど、北出さんがやってるやつって、他とどう違うんですか?

北出さん:うちはね、全部手描きなんです。パソコンでカチッとしたチラシもいいんですけど、やっぱり手描きってあったかさが伝わるんですよね。

つちや:あぁ、確かに。つい見ちゃうあの感じ。

北出さん:そうそう。ターゲット層が高齢の方だったり、チラシを見慣れてない人だったりすると、特に手描きが効くんです。入りやすいというか、「あ、読んでみようかな」って思ってもらえる。

文章じゃ伝わらないところを“絵”で見せる

つちや:内容はどんなふうに考えるんですか?

北出さん:基本は、お客さんから話を聞いて、漫画で説明できそうなエピソードを探すんです。「このサービス、分かりづらい」って言われてるやつほど、漫画にすると伝わるんですよ。

つちや:文字じゃ難しいけど、絵ならスッと入るってやつですね。

北出さん:そう。たとえば工務店さんの事例で、「なぜ断熱材が大事なのか」って、文字で説明しても読まれないけど、漫画で寒がってる家族と快適そうな家の対比を描いたら、一発で伝わるんですよ。

「自分ごと化」させるための工夫

北出さん:あと大事なのは、「読んでる人が自分のこととして考えられるかどうか」なんですよ。

つちや:あぁ、共感させるポイント?

北出さん:そうです。自分とは関係ないって思われたら終わりなんで。だから、登場人物はあえて「お母さん」とか「近所のおばちゃん」みたいな、身近な存在にしてます。自分にも当てはまるかもって思わせたら勝ちですね。

制作の裏側、じつはライターの力も大きい

つちや:ちなみに、ネーム(コマ割り)とかも北出さんがやるんですか?

北出さん:いえ、構成はライターさんにお願いしてることも多いですよ。会話やナレーションの流れって、やっぱりプロが考えると全然違うんで。そこがしっかりしてると、漫画が活きてくる。

つちや:じゃあ、漫画だけじゃなくて、文章もチームでつくってるんですね。

北出さん:そうそう。伝えるって、絵と文章、どっちも大事なんですよ。

「読んでもらえない」が前提のチラシづくり

北出さん:今って、そもそもチラシなんて「読まれないもの」って前提で作ってますからね(笑)

つちや:え、そうなんですか?

北出さん:うん。「全部読まれない前提」で、見出しだけで内容がわかるようにしたり、1コマだけでも伝わるようにしたり。最悪、タイトルだけ見て「あっこれ」ってなればOKっていうぐらいの気持ちです。

目指すのは「読むのが楽しい」チラシ

北出さん:でもね、「楽しくて読んじゃった」って言われると嬉しいんですよ。

つちや:あー、なんかあるわ。読みたくて読んだんじゃないけど、気づいたら読んでたっていう(笑)

北出さん:そうそう。ほんま、それを目指してるんです。

まとめ

・手描き漫画のチラシは「目に留まりやすく、親しみがある」
・ターゲットに合わせた構成や言葉のチョイスが重要
・「自分ごと」として共感させる仕掛けがカギ
・文章と絵の連携で「読ませるチラシ」に
・そもそも「読まれない」前提で作るという逆転の発想

「漫画チラシって、ただの販促ツールやと思われがちやけど、私は“コミュニケーションの入り口”やと思ってるんですよ。伝えたいことが伝わったときの喜びって、ほんまにあるんです。」
── 北出さん

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